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俊光と菜子のホントの関係

第4章 『私と俊光君』






「うわぁー、やっぱりスゴい人ぉー」


 さすが原宿。有名な通りは、いつ来ても人で溢れてる。

 私と俊光君は、通りの玄関口にある短い坂の上から、その光景を眺めていた。

 道が全然見えない。人の頭しか見えないよー。


「日曜だから尚更だなー」

「はぐれたら終わりだね」

「……お子ちゃま。迷子になるなよ」

「もうっ。いくつだと思ってるのぉ?」

「ははっ。お前ならあり得るだろ?」

「失礼しちゃーう」


 なんていつものやり取りをしながら、二人で大混雑の通りに入ろうと歩きだしたら――


「ひゃあっ!」


 いきなりドンッと強めの衝撃がきた。


 あー、早速人とぶつかっちゃった。よろけてコケそうになっちゃったよー。


「大丈夫か?」

「っ、う、うん……」

「これじゃ、歩くのも一苦労だな」

「ホントー……」


 はぁ。気をつけないと……。

 けど、更に入っていくと――


 ドンッ! ドッ!


「ひゃあっ、ひゃあ!」


 あぁもーうっ。こんなにぶつかってたら、ホントにコケちゃうよー。


「…………ほら」

「へ?」


 俊光君は前を見たまま、なぜか私に左腕を出してきた。

 どういうこと?


「……こんな人混みの中で、もし転んだりでもしたら、人に踏まれるだろ? だから……」

「……あ」


 もしかして、コレって……『俺に掴まってろ』っていう意味?


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