
俊光と菜子のホントの関係
第4章 『私と俊光君』
「じゃーん! お待たせー!」
あ。ハリキって出たら、俊光君をビクッてさせて驚かせちゃった。
俊光君、深緑のパーカーにジーンズって思いっきり普段着。ホントに誕生日だってこと忘れてるんだぁ。ぷぷっ、超ウケちゃう。とはいえ、誕生日だって知っていても、めかし込む俊光君じゃないけどね。
「たくっ、着替えに時間かけ過ぎなんだ……よ……」
わ。服を見てくれたー。
「どう? 似合うー?」
「あ、あぁ……」
……ん? なんか俊光君、ボーッとしてない?
「え、お前……そんなの、持ってたっけ?」
あ。見慣れない服だから、持ってたかどうかって記憶を探ってたのかも。
私は、初めてこの服を着た時のトキメキを思い出しながら、買ってもらったことを楽しく話した。
「そう……か。ふ、ふーん……」
「それに意外とゆったりしてるから、胸が強調されなくて嬉しいー。私、胸が大きいじゃない? ちょっとピッタリした服着るとメッチャ目立つんだもん。
それでねー、店員さんがその悩みを聞いてくれながら、コーディネートをいろいろと提案してくれたんだよ」
って……あれぇ? 俊光君、またボーッとしてるー。
「……俊光君? どうしたの?」
「っ、え?」
なんかさっきから、反応薄い気がする。
まさか、俊光君の好みでも、私には似合わないとかじゃ……
なんて、不安が過っちゃった。
「もしかして……これ、変?」
「い、いや、変じゃないって」
俊光君、慌てながらも否定してくれた。
そうなんだ。変じゃないなら――
「じゃあ……可愛い?」
どうかな? どうなの? ドキドキ……。
「あぁ、かっ……あ……
まぁ……いいんじゃない、か?」
…………はい?
「えー? 何それー! ハッキリしてなーい!」
「もういいだろ、早く行くぞっ」
「あーっ。待ってよー、俊光くーん!」
先に階段降りちゃった……。
もーう、いつもみたいに『可愛い』とか褒めてくれると思ってたのにー。ちょっと残念……。
まっ、でもいいっかぁー。大事な誕生日を一緒に過ごせるから。それだけでもすごく嬉しー。
