
俊光と菜子のホントの関係
第4章 『私と俊光君』
「なら、最初からハッキリ言ってよぉー」
「手を開いて出したから、わかるかと思ったんだよっ」
「えー、そこまで見なかったぁ」
そういうことかぁ。
や、やだなぁ私ってば……。実のお兄ちゃんに、思いっきり恋人同士みたいなことしちゃったよぉ。しっくりくるとか思って、ウットリしちゃったりして……。
これじゃあ私、恥ずかしい妹だしー。
俊光君も嫌かもしれないから、なんとか離れなきゃ――
「……もう、どっちでもいいよ」
「え?」
「手でも腕でも。とにかく、しっかり掴まってろ」
「あ…………うん」
許してくれた。
こんな恋人同士みたいなことを、あの俊光君が……。
離れようと思って緩みかけた自分の腕を、また俊光君の腕にギュッとして絡ませてみた。
やっぱり、しっくりくる……。
私……恋人同士って感覚が、まだどんな感じかはわからないけど、ひょっとしたら……こんな感じだったりするかもしれないね。
しっくりきて、安心出来て、心地いい。
いつか私にも彼氏が出来るとしたら――
俊光君みたいな人がいいなぁ。
別にいいよね? 理想のタイプが『お兄ちゃん』でも。
「……んふふーっ」
「は? 何だよ、笑ったりして」
「別にぃ? 何でもなーい」
じゃあ今日は俊光君に、彼氏の練習台になってもらっちゃおう。もちろん、私の中でだけで!
えへへ。そう決めたらワクワクしてきちゃったー!
そしたらまずは、お店で俊光君に、品物どれがいいか訊いて、選んでもらってー……
そうだぁ! 俊光君のプレゼントも一緒に見よーっと! そこで誕生日だって気づくかなぁ?
あーなんか、こうしてプランを考えると、ホントのデートみたい。
今日はスゴく楽しい一日になりそー!
