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Receptor

第1章 receptor

貫は紀の髪を指に絡めて頬をなぞりながら胸に引き寄せると、額に小さく口付けた。
「にぃにが紀に教えてくれたんだよ」
紀は小さく微笑んで貫の胸に頬を擦り寄せた。
貫に褒められるだけで、紀の気持ちが昂る。
紀が貫の肌に唇を這わせていると
「紀に構ってやりたいけど、今日は早出なんだ」
貫に甘い時間を拒まれると、紀は不満気に頬を膨らませた。
「帰ったら可愛がってやるからいい子で待てるだろ?」
紀が小さく頷くと、貫は紀の髪を撫でて小さく唇を重ねた。
紀は渋々ベッドから降りてクローゼットから年齢に似合わない下着を取り出して身に付けていると、貫の熱視線を感じる。
紀は掛けていたセーラー服に着替えると
「先に降りてるね」
貫を置いて寝室のドアを開けた。
階段を降りた紀はエプロンを纏ってキッチンに立ち、慣れた手つきで小気味良い音を立てながら調理を始めた。
雇っていた家政婦に暇を出してからは必要に駆られ、そして何より貫の為に紀は苦手だった料理も克服した。
スーツに着替えた貫が降りて来て、紀の隣に並ぶと背中を抱き
「紀ちゃん?怒ってるの?」
猫撫で声で耳元で甘く囁く。
触れる息に頬まで熱を持ち、紀の呼吸が荒くなる。
貫は紀の耳に甘く舌の先を這わせてエプロンの裾を捲り、紀の肌に指先を滑らせていく。
「…っ…はぁ…ん…っっ」
思わず紀は甘い声を漏らし、指先が小さく反応する。
貫は反応を楽しむように紀の下着に指先を滑らせ、首筋に甘く唇を這わせていると
「…にぃにのお弁当作ってるんだから邪魔しないで」
紀は乱れた息で体を捩って肘で貫を押すと、貫は小さく笑って紀の首筋に吸い付き、淡い小さな痣をつけた。
貫は紀の頭を優しく撫でて体から離れると、コーヒーをドリップで淹れ、タバコを咥えて火をつけた。
貫の動作は色香を漂わせていて、目が離せなくなる。
タバコを吸い終えた貫は朝食代わりのコーヒーを飲み、紀は貫を横目に貫が喜ぶおかずを作り、弁当箱に詰めていく。
紀が作る弁当は色取り取りに飾られていて、少食の貫に合わせた献立だった。
飽きられないように配慮していた。
紀は弁当をバッグに入れて、玄関に向かう貫に手渡した。
「好き嫌いしないでちゃんと食べてね」
「最近の紀は母さんに似てきたよ」
貫は優しく微笑んだ。
紀にとっては褒め言葉だった。
貫の母親は気立ても良く、美しかった。

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