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Receptor

第1章 receptor

貫は紀を壁に追いやると、シャワーのコックを捻った。
床を叩きつける飛沫の音は、紀の甘い声を搔き消す。
貫は壁に手をついて紀の髪に指先を絡めて引き寄せる。
重なり合う唇は深くなり、溢れてくる唾液にも構わず角度を変えて舌を絡め合う。
貫は紀の髪を撫でて濡れた肌に指先を滑らせると、紀の指先が小さく反応する。
貫は紀を椅子に座らせて前に屈み、紀の脚を開げていく。
重なる唇に溺れながら、貫の指先に体の奥が締め付けられる。
貫の指先は紀の太腿を味わうように滑らせて割れ目をなぞると、紀は快楽に体を仰け反る。
「…ん…っ…んん…はぁ…ん」
貫は紀の背中を抱いて体を支え、蜜壷に指先を捩じ込む。
肉壁を引っ掛けながら反復させ、耳元で甘く
「掻き出してやってるのに、こんなに垂れ流して」
紀は頬を紅く染め、貫の髪を指先に絡めて唇を欲しがる。
貫の手の温もりも、甘く触れる唇も独占したい。
他の誰にも触れられたくない。
誰にも奪われたくない。
貫が先に浴槽に浸り
「紀もおいで」
紀は浴槽に脚を浸し、貫に背中を向けて小さくしゃがんだ。
貫は紀の背中を抱いて首筋に甘く唇を這わせながら
「そういえば、昼休みに学校の屋上で何をしてたんだ?」
紀は心臓を掴まれ、平静ではいられない。
さっきまでの甘い時間が嘘のように、空気が重く沈んでいく。
「小鳥遊も一緒だっただろ?」
動揺した紀は被せ気味に
「…たまたま居合わせただけだよ」
「紀は俺に嘘をつくのか?」
貫の声が露骨に低くなる。
紀は揺れる心を貫に悟られないように
「…にぃにに嘘なんてつかないよ」
貫はどこまであの場での出来事を知っているのだろう。
あの場には紀と弥寧しかいなかった筈。
弥寧と重ねた唇を、貫に知られる訳にはいかない。
きっと貫は嫉妬に狂う。
貫は紀の耳に舌を這わせながら紀の唇を指先でなぞり、指を侵食させて口腔内を姦していく。
「嘘をつく口は、こうして塞いでやらないとな」
貫の指先は紀の上顎を擽(くす)ぐるように撫で、舌を捕まえては紀を翻弄する。
「…んん…っ…はぁ…ん…あぁ…ん」
紀は甘い息を漏らし、唇からは涎が垂れる。
「こんなに物欲しそうに涎を垂らして、小鳥遊の前でもそうだったのか?」
耳元で甘く囁く貫に、紀は小さく首を振った。
「紀が誰のものなのか分からせないといけないな」

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