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家庭教師ヒットマン リボーン!小説・バレンタインは大騒動!?

第5章 雲の守護者

けれど目の前の彼はいつもと変わらないように見える。

「ヒバリさんは…貰ったチョコ、食べるんですか?」

ふと疑問に思って、問いかけた。

「…まあ甘いものが嫌いというわけじゃないから、気が向けば」

「そっそうですか」

友人二人と同じくらい貰うであろうチョコレートは、彼からすればうんざりしてしまうのかもしれない。

「はい」

目の前に湯気の立つ湯飲みを置かれ、ハッと我に返る。

「あっありがとうございます」

温かいお茶を一口飲むと、心まで温かくなる。

ようやく安らげる場所にいることに、安心したからだろう。

「早く食べないと昼休み、終わるよ?」

「あっ、そうでした」

しかし弁当箱を取り出す時、先程了平から貰ったチョコが溢れ出た。

「あわわっ」

テーブルの上にバラバラとこぼれるチョコは、ハートや星の形をしている。

お菓子売り場にいけば、バレンタインでなくても買えるチョコレートを、ヒバリは何故かじっと見つめた。

「…貰ったの?」

「はい。あっ、でも女の子じゃないですよ! お兄さん…じゃなくて、笹川先輩からです。さっき、お昼まだだって言ったらくれたんです」

慌てて拾い集め、袋に入れる。

「ふぅん」

ヒバリはそう言って、テーブルに置いてあった購買部で売っているパンを手にした。

そこからは二人とも食事を始めた為、会話は無かった。

そのことに気まずさを感じながらも、何となく話しかけづらかったので黙っていた。

黙々と食べ続け、最後にお茶を飲み干して立ち上がろうとした。

「そっそれじゃあオレ、そろそろ行きますね。今日はありがとうございました」

「あっ、待って」

「はい?」

その手に小皿を持って。

「えっ?」

わけも分からず受け取り、皿の上にあるものを見た。

茶色くて丸い。

そして甘い匂いが漂ってくる。

「これは…」

「チョコ大福」

「ええっ!」

確かにトリュフチョコとしては大きいと思っていた。

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