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再び罪悪感に悩まされるも、話すべきかどうか迷う。

「あっ、そういえば日本のバレンタインデーというのはチョコレートを渡す習慣なんですよね」

「うん。ああ、獄寺くんは帰国子女だから…」

外国と日本のバレンタインデーのやり方は違うと聞いたことがある。

昨年のバレンタインの彼の態度を思い出せば、受け取ったどうかも怪しい。

「はい。向こうでは少しやり方が違うんですが…」

そう言って、カバンから綺麗な包装紙に包まれた箱を取り出した。

「コレ、いつも十代目にはお世話になっているんで」

「えっ、もしかしてチョコ？」

「はい。日本流に合わせてみました」

恥ずかしそうに微笑む獄寺を前にして、複雑な気持ちになった。

これでは完璧にお歳暮感覚の義理チョコだ。

しかし純粋な行為なだけに、悪い気はしない。

「ありがとう。もしかして外国のチョコ？」

「はい。イタリアの美味いチョコの店から取り寄せました。バレンタイン用の期間限定品とかで…」

「うわぁ、わざわざありがとう。もしかして高かったりした？」

貰い物の値段を尋ねるのは無礼かもしれないが、高級そうな包装紙を見ただけで、一流店のものだと分かる。

中学生が買える値段のものか、少し不安になった。

「気にしないでください。オレは十代目に、美味しいものを食べてほしかっただけっスから」

「獄寺くん…。ありがとう」

笑顔で受け取ると、彼もまた満面の笑みになる。

普段、他の人間には滅多に見せないその笑みを、今独り占めしていることにほんの少し、優越感を感じてしまう。

「いえ。あっ、お返しとかは気にしないでくださいね」

「えっ、でも…」

「ホントに良いですから。オレは十代目に受け取ってもらっただけで、もう十分です」

そう言って、彼は踵を返した。

「それじゃあオレ、このまま走って帰ります。女共に捕まるのはイヤなんで」

「うっうん。じゃあ、また明日。明日はゆっくり一緒にいられるから」