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家庭教師ヒットマン リボーン!小説・バレンタインは大騒動!?

第8章 雨の守護者

「おう! チョコだ」

山本は笑顔を浮かべた。

その邪気がない素直な笑顔がとても眩しく感じられた。

彼は生粋の日本人で、日本育ちだ。

獄寺みたいな間違いはしないはず…だった。

「ええっと…お裾分け?」

「いんや。親父に教わって昨日の夜、オレが作ったんだ。ツナ、トリュフチョコ嫌いか?」

心配そうに顔を覗き込まれ、慌てて首を横に振った。

「いっいやっ! 好きだし、食べれるよ! ただ、意味が…」

「意味? ああ、そうだな」

問われて考え込む。

どうやら深い意味は無かったようだ。

深読みしすぎた自分が恥ずかしくなり、顔が僅かに赤くなる。

「まあ簡単に言えば、バレンタインだからかな」

「あっああ。イベントに参加したかったってこと?」

「そうそう。周りがかなり盛り上がっていたし、オレ、料理するの好きだから。家に帰って小僧やチビ達と食べてくれ」

「うん。ありがと、山本」

「食べたら感想聞かせてくれよな。美味かったら、また作るから」

「もちろん! ちゃんと味わって食べるよ。それじゃそろそろオレ帰らないと、リボーンに怒られるから」

「そっか。残念だな」

本気で残念そうな顔をされて、ふと今日一日の自分の行動を思い出した。

全てを語らなくても、一言謝っていた方が良いだろう。

「あっ、それと山本」

「ん?」

「今日一日ゴメン!」

謝ると同時に頭を下げた。

「何、今日一日って?」

「日直の仕事とか、頼まれ事とか忙しくて、ちゃんと話せていなかったから…」

「ああ」

思い出したというふうに、山本は苦笑を浮かべた。

「ツナ、女子に何か言われてたんだろ?」

「えっ! 何で知ってるの?」

驚いて一歩後ろに引くと、声を上げて笑われた。

「何となく、予想はついてたよ。ツナに話しかけようとしたり、追かけようとすると囲んできた女の子に、『沢田くん、今日は近寄ってこないから』なんて言われてさ」

「あっ、ははは…」

どうやら女の子達は、熱中しすぎて失言してしまったらしい。

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