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家庭教師ヒットマン リボーン!小説・バレンタインは大騒動!?

第8章 雨の守護者

そうと分かれば、今度は両手を合わせて頭を下げる。

「ホント、ゴメン! 山本の言った通り、女の子達に昨日の放課後に、二人から離れているように言われてさ。今日一日ぐらいなら、って思って…」

「女子のパワーはすごいからな。仕方ないさ」

山本はそう言って肩を竦めた。

今日一日で、うんざりするほど思い知らされたからだろう。

「でも、それも今日限りなんだろ?」

「もちろん! て言うか学校出た時点で、もう期限は切れたから。だからこうして山本に謝りに来たんだ。なかなか言い出せなかったけど…」

「いや、話に来てくれただけで良いよ」

そう言うと頭を優しく撫でてくれた。

「山本…」

「明日からはまた一緒にいような」

「うんっ!」

彼の気遣いと笑顔が疲れた心身に染み渡った。

こういう優しいところが人気なのは、自分も良く知っている。

きっと女子だったら彼に惹かれて、今日のファンの女の子達のようになっていたかもしれない。
が、そんなふうに考え事をして油断していたせいで、ふと山本の眼に鋭さが宿ったことに気付くのが遅れた。

不意に引き寄せられ、頭が山本の肩に当たる。

「やっ山本?」

「チョコレート」

耳元で山本の声が響き、思わず身が竦んだ。

「えっ?」

「今度はツナ一人分だけ特別に作るよ」

低い声で囁かれ、背筋に痺れが走る。

「ちょっ…! 声、近いっ」

腕の中でか弱くバタバタと暴れる自分を見て、山本は苦笑した。

そしてすぐに表情をいつもの爽やかな笑みに戻し、パッと手を離して一歩後ろに下がった。

「まっ、ツナが気に入ってくれたらの話だけど」

「なっななっ!」

開放されたのはいいが、なけなしの体力を使ったせいでくたびれてしまった。

「そんじゃ、また明日な!」

山本は手を振り、笑顔でそのまま店の中に入ってしまった。

残された自分はしばし呆然としていたものの、人が多くなってきたのに気付き、慌ててその場を離れた。

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