
たけるとみかる―双子みたいな幼なじみ―
第6章 佐倉武・最終話
「何で殴らなきゃいけないの!? ていうか、私の話を聞いてよ!」
「ケジメだよ、ケジメっ! じゃないと、俺の気が済まないんだよっ!」
「……あ」
「お前も知ってるだろ? 俺が親にも殴られたことがあることを。だから、思いきって来いっ!」
「…………ぷはっ! アハハッ!」
あぁ?
こんな真剣なシーンで、なぜ笑う?
「ごめ……だって……」
「?」
「やっぱ私達って、双子みたい」
「はぁ? 何だよそれ」
「ううん。こっちの話」
実果留は、こんなときに含み笑いをしていた。ワケわかんねぇし……。
ん? 実果留が笑うのをピタッと止めたぞ。
それから、何かを思いついたように「あっ」と、口を動かした。
……何だ?
「武。どうしても私に殴ってほしいの?」
「は? あ……あぁ」
「そう……わかった。じゃあ……私、殴るよ!」
「え?」
「殴れば、気が済むんでしょ?」
「あ、あぁ……」
な……何なんだ、さっきから。やけに吹っ切れた顔しやがって。
「だったら容赦しないよー!
前ビンタした時よりも、もっと強く殴るからっ!」
げっ! あれよりもか!?
しかも気合い十分って感じで、手の素振りを始めたし。
実果留のセリフを聞いて、更に吹っ切れた態度を見て、俺は少し怖じ気づいてしまった。
やべ。歯一本、犠牲になるかも。
