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たけるとみかる―双子みたいな幼なじみ―

第1章 杉並実果留



(これからも安心して、俺とおんなじ身長でいろよ!)


 と、言っていた武が、中学生になったばかりの時に、


(俺……お前より身長伸ばしたいんだ。
 だからもう……俺と一緒の身長になろうとしなくていいから)


 と、言ってきた。

 しかも、私が告白をしようと決めた日に……。最悪のタイミングだった。


(え? 何でよ)

 と、私が聞いても

(何でもっ)

 としか言ってくれないし、

(もしかして……私が嫌いなの?)

 と、不安がると

(そうじゃない)

 と言う。


 でも私からしたら、武に突き放されたとしか思えなくて……すごく悲しくて寂しい想いに苛まれた。



 ――じゃあ……一体何なの?

 私は、武が言ってくれたことを宝物にしていたのに、一気にその価値を下げるようなことを言うなんてヒドいっ。

 きっと武は……私のことなんて、何とも思ってないんだ。

 いまだに双子と呼ばれて喜んでいるのは……私だけなんだ――



 そう感じ取った私は、

 武に告白をすることが出来なくなった。


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