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たけるとみかる―双子みたいな幼なじみ―

第1章 杉並実果留





 学校帰り。私は、都心にある駅前の広場で『ある人』と待ち合わせをしていた。


「杉並さん、遅れてすみません!」


 あ、来た来た。

 夕崎(ゆうさき)君が人を避けながら、息を切らしてやって来た。走って乱れたブレザーを整えて、ずれかかったメガネも目に合わせている。


「はぁっ、はぁっ……ま、待ちましたか?」

「ううん。待ってないよ。遅れるって聞いてゆっくり来たから」

「そうですか。本当にすみません。自分、掃除当番だったのをすっかり忘れていたものですから」


 申し訳なさそうに、はにかんでる。


「連絡くれたんだから、そんなに慌てなくても良かったのにー」

「そうなんですが、あんまり待たせたら悪いかと思いまして……。あ、それじゃあ行きましょうか。映画が始まっちゃいますね」

「うん」


 私と夕崎君は、並んで歩き出した。

 楽しく会話をしながら、夕崎君を見上げてみる。

 はぁー……いつ見ても背が高いなぁ。180センチあるんだっけ。

 しゃべり方も丁寧。誰に対してもいつも敬語。キチンとした制服の着こなし。頭も良くて、性格も大人しくて穏やか。


 テキトーキャラの武とはタイプが違う、


 私の――彼氏。


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