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たけるとみかる―双子みたいな幼なじみ―

第1章 杉並実果留





 朝の通学前は慌ただしい。

 その原因は、隣に住む幼なじみ。


「武っ、起きな! 遅刻するよっ!」


 遠慮なく部屋に入り、ベッドから起き上がらない武を揺すった。が、


「んだよ、うっせぇなぁー。まだ食べてるんだからさぁー、邪魔すんなよぉ……」


 フニャフニャとしながら意味不明なことを言い、また更に布団を被るという。


「っ、たくもーうっ!」


 武は、昔っから寝ぼけ方が激しい。

 朝はだいたいいつもこんな感じ。

 昨日なんて――


(あぁ? これから歌うんだってばぁー……実果留も一緒に歌おうぜぇー……ムニャムニャ……)


 だもんねー。夢と現実の狭間で、さ迷っている感じ?


「んもう、いい加減にしろぉーっ!」


 武から布団をはぎ取った。

 それでも武は、仰向けで大の字になって寝たまま。


 し、しぶとい……わかってますけど。


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