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たけるとみかる―双子みたいな幼なじみ―

第1章 杉並実果留


 壁時計をチラッと見る。

 うぅー、あと20分で出ないと電車に乗り遅れちゃうよー。武のせいで、いつもギリギリなんだからー!


「たぁけぇるぅー! 早く起きてよぉー!」


 切羽詰まった私は、ベッドに飛び上がり、武の両手首を掴み、力いっぱい引っ張り起こした。


「んあぁー、何すんだよぉー……」


 やっと起こしても、武はベッドの上で、座ったままゆらゆら。ここまでされているのに、まだ寝ぼけていられるのがすごい。

 武の特技の一つに認定。


「……んん?」


 目が半開きの武は、私の方を見て、何かを見つけたように唸(うな)った。


「え? 何?」

「んんー? これは……」

「え、ちょっ、ちょっと、武?」


 武は前に手をついて、私にずいっと寄ってきた。私は少し逃げ腰になり、後ろにのけ反った。


 ベッドの上で、武にそんな風に近づかれたら、私……

 ドキドキするんだけど。


 そんな私の密かな想いを知らない武が、


「おぉ、こんなところに肉まんが。しかも、二つも……」


 と、両手で鷲掴んだのは――


「っ!」


 私の……胸。


「なっ……ちょっ……」


 突然のことに対応しきれず、ただただ、硬・直……。


「おぉー。この肉まん、めっちゃ柔らかいなぁ……」


 と、更にムギュムギュ。


「なっ……なっ……」

「ほら……実果留も食えよ……」

「っ、食えるかぁーーーーっ!!」


 バッシーーン!


「んだぁっ!」


 私から強烈なビンタを食らった武は横に倒れかかると、そのままベッドから、ドシン……! と、大きな音をたてて落ちた。

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