
たけるとみかる―双子みたいな幼なじみ―
第1章 杉並実果留
「実果留……その東豊生は?」
きたっ……。
緊張が走り、肩にかけてるスクールバッグの持ち手部分を、すがるようにギュッと握った。
夕崎君は、私と武の間に口を挟むことなく、ただ見守ってくれている。
心臓がバクバクする。目が泳ぐ。
苦しくなった息を、小さな深呼吸で整えた。
…………いざっ。
意を決して――口を開いた。
「武。こ、こちらは……夕崎、茂明君……って言うの。うちらと同い年」
「……ふぅん」
「でね? 私……今日からこの夕崎君と……そのぉ……」
「うん」
「つ…………つき合うことになった……から」
「…………は、はぁー!? つき合うことになっただぁーー!?」
武は、目を見開きすぎるぐらい見開いて驚いた。
つ、ついに言ってしまった……。
もう完全に、あとには引けなくなった。
本当の好きな人に向かって、こんな報告をするなんて……私、本当にどうかしてるっ。
「そ、そういうワケだから……よろしくっ」
なんとか平静を装い、手を軽く上げた。
でも、顔が強張って引きつって、うまく表情が作れてないと思う。
「よろしくって何? 何だよ、その急展開はっ。ビックリすんじゃん!」
そりゃそうだ。なんの前触れもなくこんなことになるって、武じゃなくても驚くよね。
「話せば……長くなるんだけど……」
「…………あ、そう。そうなんだ…………」
武……。
嫌だとか、つき合うなとか、少しでもそんな態度を見せてくれる?
私は、わずかな期待を抱(いだ)きつつ、武の顔色を伺った。
