
たけるとみかる―双子みたいな幼なじみ―
第2章 佐倉武
――小学五年生。
帰り道を歩きながら、俺は実果留との身長を比べるため、頭の上で手をスライドさせた。
「……ははっ! 五年生になっても、俺達まだ身長が一緒だなー。マジで双子だし!」
「う……うん……」
「……実果留? どうしたんだよ。なんか元気ないぞ?」
「武……私……これ以上身長伸びたくないよぉ……」
実果留が涙目でポツリと言った。
「はぁ? 何でだよ」
「だって私……女子の中で一番大きいんだもん。それでね……実は、クラスの男子に『男みたいにでけーなー』ってバカにされてるの」
俺と実果留の身長は155センチ。実果留からしたら、確かに女子の中では大きい方だ。
「まさか……いじめられてるのか?」
「うん……ちょっとだけだけど……」
くそっ。俺がクラス一緒だったら、いじめから守れるのにっ。
明日、実果留のクラスに乗り込んで、いじめるやつらをぶっとばしてやるっ!
「実果留、元気出せよ!」
「元気なんて出ないよぉ……」
「俺は、実果留を男みたいとか思わないぞ!」
「……ホントに?」
「あぁ。実果留は十分女の子じゃんか!
それにさ、背が一緒だと実果留の顔が近いから、よく見えて楽。
だから、これからも安心して、俺とおんなじ身長でいろよ! な?」
実果留の頭に、ぽんっと触れたら――
暗く沈んでいた実果留の顔が、ぱぁっと明るくなった。
そんな顔を見たら、胸の奥の方がギュッと締まった感じがした。
「うん! 私、武とずっとおんなじ身長でいる! そしたら武の顔も、ずっと近くで見ていられるよね?」
「……あぁ、そうだぞ!」
うん。
やっぱ俺……実果留が好きだな。
