
たけるとみかる―双子みたいな幼なじみ―
第2章 佐倉武
――中学一年生。
「お前らって、マジでリアル双子だよなー。本当に血が繋がってたりしないの?」
新しいクラスメイトから、実果留とのことを言われた。いつも女子の話ばっかしている、ちょっとタラシっぽいヤツだ。
離れた席に座る実果留をチラッと見た。友達と楽しそうに話している。
「……繋がってたりしねぇよ。親にも要確認済みだし」
「そうかぁ……。実はさ、オレ……杉並って、結構タイプだったりしてー」
「あぁ!?」
何言ってやがる、コイツ! ニタニタして気持ちわりぃ!
「杉並の背、163センチって高めだけど、175センチのオレよりかは低いから全然気にならねぇし。それに、顔も美人だし、髪の毛サラサラだし」
「なっ、なっ……」
マズい。実果留に魔の手がっ……。
危機を感じていると――
「だからさ、佐倉と杉並が『ただの双子コンビ』でよかったよー」
「……はぁ? 何で?」
「だってよー、顔も背も似てるっていうことは……
『恋愛対象外』だろ?」
「えっ……」
レン・アイ・タイ・ショウ・ガイ?
その言葉に戸惑っていると、更に追い討ちをかけるように、ヤツは口を開く。
「杉並だってどうせさー、お前を男だって意識してないっしょ。双子っていうぐらいなんだからさぁー。
やっぱ女からしたら、自分より背の高い男の方がいいだろ? だから、オレにピッタリ。ナハハーッ!」
「…………」
何も言い返せなかった……。
俺はただ、実果留の顔が近くで見れるからいいって思ってた。双子と言われるのも、実果留と一緒だから嬉しかった。
けど、それってイコール……恋愛対象外。
ずっと『双子コンビ』でいたら……俺は、実果留に男として見られない。
実果留に……好きだって思われない。
うーわっ、マジかよっ。
それって、かなり辛いぞ……。
