
たけるとみかる―双子みたいな幼なじみ―
第2章 佐倉武
いつものように、俺の部屋に実果留が遊びに来た。
「……ねぇ、武」
「……なぁ、実果留」
また同時かよ。
「えっ? 何? 武」
「いいよ。お前先に言えよ」
「えっ!? ……ううんっ、いい! 武が先に言って!」
ん? 何か、今日の実果留……変だな。
まぁいいか。
……よしっ。言うぞっ。
「じゃあ……実果留」
「何?」
「俺……お前より身長伸ばしたいんだ。
だからもう……俺と一緒の身長になろうとしなくていいから」
俺は、唐突(とうとつ)に言い放った。これは聞きようによっては、実果留を突き放すと捉えられ兼ねなかった。
案の定、実果留は表情を曇らせ、「……え? 何でよ」と言った。
『実果留に男として見られたいから』って、言えるわけがない。
「何でもっ」としか、今は言えなかった。
「もしかして……私のこと嫌いになった?」
「そうじゃない」
今にも泣き出しそうな実果留に、内心焦った。
それでも俺は耐えて、だんまりを決め込んだ。
「……な、何よもうっ! ワケわかんないし! 武のバカッ!」
「あっ、実果留っ」
部屋からバタバタと走って出ていっちまった……。
……実果留……。
違うんだ。突き放したかったわけじゃなくて、
実果留に『好き』って思われるようなヤツになりたいだけなんだ……。
ごめん、実果留。
その日が来るまで、ちょっとだけ俺を
『双子』から解放させてくれ。
