
たけるとみかる―双子みたいな幼なじみ―
第2章 佐倉武
「お宅のママさんにお昼呼ばれて来てたんだけど……何? 風邪引いたんだって?」
実果留母は、長くてフワフワした髪をかき上げながら訊いてきた。仕草の一つ一つに大人の色気を漂わせる。とはいえ、実果留の時みたいに理性がどうにかなりそうとは、全然なんねぇけど。
「そうだよ。まだ熱下がんねぇし、だりぃしで……」
「そんなにあんの? どれどれ……」
実果留母が俺のおでこに手を当ててきた。
本当に親子だな。手の当て方まで一緒だし。
「うわ、ホントだ。熱いじゃない」
「だろ?」
「くくっ。本当バカだねぇー。いい歳して、ガキみたいに水遊びしたりしてさぁ」
「……それ、似たようなこと言われた」
「ふぅん…………実果留にぃー?」
「ぐっ!」
やべっ! おかゆが変なところに入っちまった!
ゲホゲホとむせながら、グラスの水を一気に飲み干した。
「あははっ、ごめんごめんっ! 食べてる時に、気になるコの名前をハッキリと出しちゃいけなかったわねーん」
「べっ、別にっ! ……あぢぃ!」
うっかりしたなぁ、おい! 今度は、熱々のおかゆを冷まさないで、口の中に入れちまった!
実果留母は心配もせず、手を叩いてウケていた。
