
たけるとみかる―双子みたいな幼なじみ―
第1章 杉並実果留
「……それもそうか」
「……武?」
武が急に声のトーンを落とした。
思わず歩みをやめて後ろを振り返ると、右側の頬が赤い武が、まっすぐ私を見て立ち止まっていた。
「お前……『彼氏』がいるしな」
「あ…………うん…………」
武からポツリと言われたセリフ。それが針となって、私の胸をチクリと刺し、痛める。
そう……私には――彼氏がいる。
「こんなこと、彼氏が知ったら怒るだろうし……実果留だって、嫌だよな」
「……そっ……そうだよ……」
違う。
そりゃあ、確かにビックリしたし、カーッとなってビンタしたりしたよ?
けど……本当は、嫌じゃなかった。
ビンタしたのだって、どうしていいのかわからなくて、思わずしちゃっただけで……。
本当は、ちょっとだけ嬉しかったりした。
『好きな人』に触られるなら、例え胸でも……。
