
たけるとみかる―双子みたいな幼なじみ―
第3章 杉並実果留
「……武」と、普通の声で呼んでみた。
…………やっぱり起きない。間違いなく眠っている。
大丈夫……武なら気づかないよね?
自分の胸の音が、ドッキンドッキンってハッキリと聴こえてくる。
ベッドの端にそうっと座って……と。
手をついて、武の顔を見下ろした。
こんなこと、勝手にしたのがバレたら、武きっと『ふざけんなっ!』って怒るよね。
だからこれは、私だけの秘密にしよう。
パパにもママにも、誰にも言わない。
絶対バレないようにしなくちゃ。
私と武の、本当のファーストキスは――私だけの秘密にする。
「武……キスするけど……ごめんね?」
マンガのキスシーンを思い出しながら、自分の顔を、ゆっくりと武の顔に近づけて、
位置がずれないように、そうっと……
武に、キスをした。
「……っ……」
唇がムニッとした瞬間、胸がドクンと弾んだ。
私と武の、ファーストキス……。
