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たけるとみかる―双子みたいな幼なじみ―

第1章 杉並実果留



「しっかし武と実果留って、本当に双子みたいだよなー。顔や背丈だけでなく、名前まで似てるし。家も隣同士なんだろ?」


 初めて同じクラスになったばかりの男子から、突拍子もなく言われた。


「そうそう。私達、最初本当に双子だと思ってたもん」


 と、同じく女子からも。


「昔から言われるんだよねー。別に、血なんて一切繋がってないのに」


 私は、すっかり慣れたセリフをサラリと言った。

 武と出会った時から、ずーっと言われていることだから。


 でも、武の方は……


「あのさぁ。せめて『背丈は似てる』ってところだけは撤回しろよ。俺の方が5センチ高くなったんだから」


 と、少しマジになって反論。

 それは、高校に入ってから言うようになった、武のお決まりのセリフだった。


 私にとっては、それが複雑なんだけど……。


「たかが5センチだろ? 一緒のようなもんじゃん」

「実果留が165センチもあるもんねぇ。髪も長くてサラサラで。ホントモデルみたい。超うらやましー」

「そうか。武がチビじゃなくて、実果留がデカいのかぁ」


 友人達は私と武をいじり、面白がって笑う。


「んだよ、みんなして笑いやがって。なぁ、実果留」

「……へ? あ、あははーそうだねー」


 とっさに棒読みで返した。


「ていうか、お前まで俺を小馬鹿にしてないか?」

「小馬鹿になんてしてないよ。大馬鹿にしてんのー」

「てめぇー……」


 武がふざけて私に突っかかろうとしたら、先生がタイミング良く教室に入ってきた。それが合図かのように、みんなバラバラと散ってそれぞれの席に着いた。

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