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たけるとみかる―双子みたいな幼なじみ―

第1章 杉並実果留



 ホームルームが始まると、隣の席に座る武をチラッと盗み見る。


 武とも、もう10年の付き合いかぁ……。

 初めて武と出会ったのは、小学二年生の時。武が転校生として来た日だった。

 あの時、担任の先生に呼ばれて、緊張気味に教室に入ってきた武。

 クラスのみんなは武を見た途端――


(すげー! 杉並にそっくりー!)

(実果留って、双子だったのー!?)


 と、驚きの声をあげながら、物珍しそうに武に詰め寄ったんだよね。

 そうなるのは無理もなかった。

 私も、武も、お互いにそう思ったぐらいだから。


 更に『佐倉武』と名前を聞いた時も、みんながどよめいたりして。

『たける』と『みかる』って、名前までもがリアル双子過ぎで。

 すごく珍しい出来事に大興奮して、その日のうちに私と武はお互いの家に行って、それぞれの親にも紹介し合ったんだっけ。

 それからだった。私と武が『双子コンビ』と呼ばれるようになったのは……。

 新しい、そのうえ運命的な友達に出会えた喜びは、ものすごく大きかった。

 私と武は、本当の双子みたいに仲良く過ごしてきた。


 ずっと友達だと思っていた。


 けど……私に気持ちの変化が訪れたのは、小学五年生の時だった。


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