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第1章 葬儀屋サイコメトリ

そう言って、冬華は受話器を取り契約書に書かれていた番号に電話を始めたのだが、
「──は? 処分? いえ、でもまだ生きてるんですけど。では妹さんの方は……え、お葬式以来音信不通? 放っておけば近所の誰かが見てくれるでしょうって……、わかりました、もう結構です!」
と数分もしないうちに叩き付けるように電話を切り、
「うちで飼いましょう」
と、あっさり即決した。
 「なによ、弁護士だかなんだか知らないけど偉そうに! 人間性の問題よね、大体こんなにネコグッズがあって、身内が気付かないなんてありえないじゃない!」
「まあまあ、世の中にゃいろんな人がいるさ。でもまあ、春樹君がいてくれてモモちゃんはラッキーだったなあ」
「ハヤテとモモで、看板張りゃいいんじゃないっすか。なんかもうなついてるし」
野々村が言う通り、人間たちの会話などどこ吹く風でモモは連れてこられた新居をうろうろ探索している。そしてハヤテがそれにピョコピョコつきまとって、たまにちょっかいを出してはその制裁を受けていた。
「しょうがないなあ。……とにかく春樹、あんたが連れてきたんだからあんたが責任もって面倒見なさいよ。とにかく明日、獣医さんに連れてって健康診断!」
「はー……」
「は?」
「ハイ」

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