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第1章 葬儀屋サイコメトリ
もちろん、一般的な遺族には必要なことだろう。故人を偲び、思い出を分かち合い、まだ生きている人間として未来のために取捨選択をする。それは間違いなく正しい。
ただまったくの他人に一律にゴミ袋に突っ込まれるそれは、故人に取って、そして遺された「モノ」たちに取って……どんな意味を持つのだろう。
「──よし、それじゃ手分けして始めようか」
「あ……はい」
ゴミの回収業者と打ち合わせを終えた徳山が戻ってくる。徳山はぼうっと立ち尽くす春樹を見て、苦笑しながら言った。
「あんまりいろいろ気にしない方がいいよ。前から薄々、そうじゃないかなあって思ってたんだけど……春樹君、キミ、」
“視える”んでしょ。
【2】
そして夕方。仕事を終え、戻ってきた三人を迎えた冬華はその弟の手にあるものを見て絶句した。
「うそ──でしょ。だって、依頼人からはそんな話まったく」
「いや、すまんなあ冬華ちゃん。わしらもこんなの初めてで、どうしていいのか分からんくてな。まさかゴミ業者に出すわけにもいかんだろ」
「まあ見つけたのは春樹なんだけどな。ついでにこれ」
更に有無を言わさず野々村が事務机の上にドンと置いたものを見て、冬華は慌てて両手を振って叫んだ。