toy box
第1章 葬儀屋サイコメトリ
その遺品の処分が、今回依頼された仕事だった。
そして春樹が居間のタンスを片付けているときのこと──中から裁縫道具とともにたくさんの手作りポーチやティッシュケースが出てきて、
(きっとそのおばあさんの趣味だったんだろうな……結局全部捨てられるのか。可哀想だな)
と思いその一つを取り上げた瞬間。
「……!」
ある映像が頭の中に流れ込んできて、思わず息を呑んだ。
それは見知らぬ──でも人の良さそうな、丸っこい背の小さなおばあさんが、こたつで座椅子に腰掛けながらこれを縫っている光景。
地方局の賑やかなラジオを聞きながら、たまに甘いココアをすすって。端切れを何度も重ねては、色合いや模様を選びちくちくと針を通していく。
そうしてできたものは、近くの幼稚園のバザーに出したり、近所の人に配っているようだった。
そしてその膝の上には……まん丸になった、一匹の灰色のネコの姿。
「──ネコ?」
「あ?」
突然立ち上がった春樹に、野々村が怪訝そうな顔をする。春樹はそのまま手近にあった収納を次々開き、……ほどなく、食器棚の下段から使いかけのキャットフードを見つけた。
そして春樹が居間のタンスを片付けているときのこと──中から裁縫道具とともにたくさんの手作りポーチやティッシュケースが出てきて、
(きっとそのおばあさんの趣味だったんだろうな……結局全部捨てられるのか。可哀想だな)
と思いその一つを取り上げた瞬間。
「……!」
ある映像が頭の中に流れ込んできて、思わず息を呑んだ。
それは見知らぬ──でも人の良さそうな、丸っこい背の小さなおばあさんが、こたつで座椅子に腰掛けながらこれを縫っている光景。
地方局の賑やかなラジオを聞きながら、たまに甘いココアをすすって。端切れを何度も重ねては、色合いや模様を選びちくちくと針を通していく。
そうしてできたものは、近くの幼稚園のバザーに出したり、近所の人に配っているようだった。
そしてその膝の上には……まん丸になった、一匹の灰色のネコの姿。
「──ネコ?」
「あ?」
突然立ち上がった春樹に、野々村が怪訝そうな顔をする。春樹はそのまま手近にあった収納を次々開き、……ほどなく、食器棚の下段から使いかけのキャットフードを見つけた。