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洋太の後輩、佐野田十望は自分の前を歩く憧れの先輩、海堂忠臣を見つめた。洋太と海堂と十望が飲みの帰りに歩いていたとき、見知らぬ男に話しかけられ、十望は成り行きで海堂と歩いている。今日の飲み会は十望が、事務所の先輩である洋太が海堂の後輩だと聞いて、海堂に会わせて欲しいと拝み倒して実現したのである。憧れの先輩と会うだけに留まらず、二人きりで歩いているというシチューエーションに酔いながらも、頭の片隅で、洋太を引き止めた男のことが気になっていた。

｢海堂さん、加持さんは大丈夫でしょうか……｣

耐えきれず、十望は海堂に聞いてみた。あの男は洋太と親しく、海堂とも知り合いのようであった。

｢大丈夫だよ、多分ね｣

｢あの男の人とお知り合いなんですか？｣

聞かずにはいられなかった。

｢うーん……洋太のこわーいご主人様、的な？｣

海堂の答えからは洋太とあの男の関係性は分からなかった。しかしこれ以上聞くわけにもいかず、モヤモヤとした気持ちが続いた。