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俺の変カレ

第3章 俺の変カレ2

店内はこじんまりとしているが、内装にこだわっていて、店員も愛想が良く、二人には好印象だった。

「確かに、ここいい店だな」

海堂はワインを飲み、店内を見回した。

「ワインもうまいし」

さっきとは一転して海堂は機嫌がいい。

「そうですね」

洋太はいつ海堂に話を切り出すか迷っていた。誰かに相談するということ自体、洋太にとってほぼ初めてのことだ。そもそも洋太に相談に乗ってくれるような人はいなかった。決して友人がいなかった訳では無いが、人に深く関わるということをしてこなかった。唯一大学時代の先輩である海堂を除いては。それも洋太が積極的に関わろうとした訳ではなく、海堂に無理矢理、仲良くさせられた。最初は面倒くさく思っていたが、海堂はサバサバした性格だったし、洋太とも気があった。だから今はお互い気の合う先輩後輩として付き合っている。

「海堂さん、実は今日相談したいことがあるんですよ」

やっとのことで言い放った言葉に対し、海堂は少しニヤッとした。

「へー、洋太が。珍しいね」

洋太は海堂の意地悪な態度にイラッとした。

「別に海堂さんが迷惑ならいいです」

「ごめごめん、で?」

海堂はニヤつくのをやめた。ワインを片手にさっきとは違う真面目な顔をする海堂は男が見とれるほどかっこいい。しかし洋太は知っている。腹の底で洋太の弱みを握れることを喜んでいる姿が。

「真面目な話なんですからね」

洋太はもう一度念を押した。

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