テキストサイズ

その恋を残して

第7章 眠り姫……か

    ※    ※


「――!?」


 ハッとした時には、もうカーテンの隙間から朝日が差し込んでいた。

 喉の渇きを覚え、部屋を出て階段を下る。すると――

「母さん――?」

 食卓に顔を伏せていた、その姿を目にして驚く。

「ああ……オハヨ」

「なに、してるの?」

 俺がそう訊くと――

「なにって――アンタのこと、心配してたんだよ。結局は、寝ちゃったみたいだけどね」

 母さんは、そう言って自分の頭をコツンと叩いた。

「……」

 心配を? ――そう聞いても、果たしてなんと言っていいのかわからない。

「ほんの親の努めよ。それよりも、どうなの? 一晩中、考え込んで、なにかわかったのかしら?」

「い、いや……」

 俺は情けない気持ちになって、思わず俯いてしまった。

「そんなを顔して……アンタ、母さんに言えないような悪いことでも、したの?」

「わ、悪いことなんて。俺は、ただ――」

 と、言いかけながら考えを巡らせていた。

 迂闊だったのかもしれない。未熟であったことは間違いない。それでも、それを悪かったなんて思わなかった。

 だから――

「恋を、しただけ」

 自然に、そう口にしていた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ