その恋を残して
第7章 眠り姫……か
※ ※
さてと――勢いのまま家を飛び出してはみたはいいが、実際のところどうしたものか。
当面の俺には、蒼空たちの家まで行く手立てがないのだ。最悪、走ってでも行こうとは思うけども、流石に時間がかかりすぎてしまう。直線距離にして15キロ余りの、しかも山道だ。
自転車も持っていないし、田舎だからバスや電車もそう都合良く走ってはいない。ならば――と、俺は携帯を取り出し一本の電話をかけた。
すると、その十五分後――。
一台のバイクが、路地を俺の家の方へ入ってくると、俺のすぐ側で停まった。
「来てやったぞ。たまの休みの、早朝からな……」
ヘルメットを取った田口は、とても迷惑そうな顔。しかも眠そうだ。
「いや、ホント悪い!」
俺とは違い日頃から、部活の練習で絞られている身だ。俺は申し訳なく感じて、手を合わせる。
「ほら、乗れよ」
田口は俺にもう一つのヘルメットを渡すと、後ろに乗るように指示。そして、まずは出発する。
ポイント毎に俺の方で道を示しつつ、田口はバイクを走らせて行った。
「……」
バイクの後ろで田口の背中を見ていたら、コイツにはすっかり世話になったな、と妙に感慨深い気持ちになった。
最初は余計なお節介だと感じたり、面白がっているだけじゃないのかと思ったりもした。
だけど今は、素直に思うことができる。コイツが友達で良かったって。
やがて蒼空たちの家が見えると、俺はそれを指差して田口に合図する。
「うわっ、でかっ! マジでハンパねえ……」
家の前にバイクを停めると、田口は感嘆の声を洩らした。それは無理もないことだと思う。二度目の訪問の俺の目にも、その屋敷は改めて浮世離れしたものに映っていた。
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