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その恋を残して

第8章 ……ちゃった、ね


「怜未も松名くんを、好きなんだって」

「――!?」

 蒼空の口からそれを聞かせれ、俺は胸の高鳴りを押さえることができない。

「それは、私が望んできたことでした。私の中に来てから今までで一番、怜未が嬉しそうにしているのが伝わってきて。私だって嬉しいはずなのに……それなのに、私は……徐々に、胸が苦しくなって……」

「蒼空……」

 蒼空の瞳が揺れ――今にも、涙が零れそうで。

「もう誤魔化せなくなって。私はそのままの気持ちで、怜未と話すのが怖かったんです。いいえ、怜未と話すことで、自分の中に芽生えた負の感情が大きくなりそうで、それが怖かった。自然と、私は心を閉ざして……だから木曜日の夜、怜未は姿を現さなかった……」

「……」

「そして既に深い眠りの中にあることを、私は夢の中で気づきます。すると、また新たな恐怖が襲ってきました。このまま、私が目を覚ましたら――私が私のままで目を覚ましてしまったら――もう二度と怜未が現れないんじゃないかって――だから私は、目を覚ますこともできずに眠り続けるしかなかった」

「でも、蒼空は目を覚ましてくれた。それは――?」

「眠ったままの闇の中は、怖くて心細くて……私、一人で震えていました。でも、その時だったんです。松名くんの声が聴こえてきたのは――」

 それを聞いて、ハッと驚く。

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