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その恋を残して

第4章 二人で一人なのです

「お前、帆月蒼空と付き合ってんの?」

 いきなり投げられた直球の問いに、俺は肩を揺らしてギクリとする。こんな無遠慮な奴は一人しかいない。当然、俺の悪友・田口であった。

「な、なんで……?」

「朝、一緒に登校してきただろ。俺も朝練の最中に見かけたし、もうかなり噂にもなってる」

 田口は野球部であり、確かに登校時にグラウンドの脇を通っていたけど。それにしても、目ざといヤツ……。

 そりゃ、一緒に歩いていれば人目にはつく。只でさえ、編入したての蒼空は注目されやすい。そういう意味では、俺の配慮が足りなかったとは思うけど……。

「まだ、付き合っているというわけじゃない……ような」

「でも本来、学校まで車で送迎されて来るはずの帆月が、歩いて登校して来たことから察するに、何処かで待ち合わせしたってことなんだろ?」

 コイツ、推理力がハンパないな……。と、妙なことに感心している場合ではない。

「イヤ……それは、そうなんだけど……」

 明らかに言い淀む俺を見て、田口はため息をついた。

「別に冷やかすつもりはないって。はっきりしておいた方がいいってこと。只でさえ帆月を狙っている奴は多いんだからな」

 それは確かに。先日の内田の件も記憶に新しい。だが、朝も考えたように、まだ付き合っていると言い切れる状況ではないのである。

「今は、見て見ぬ振りで頼む。はっきりしたら、お前には言うから」

 俺が手を合わせつつ、そう願うと――

「早い方が、いいとは思うぞ……」

 とりあえず、田口はその追及をそれで終わらせてくれた。

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