その恋を残して
第1章 好きにならないで!
※ ※
次の日の火曜日。帆月蒼空が俺のクラスに来て二日目のこと。
俺は朝から緊張していた。それは、昨夜決めた逆告白を、滞りなく実行せんと意気込むが故である。
俺は帆月を好き、ではない。その誤解だけは早々に解いておきたいと焦る。しかし、それを実行するタイミングはかなり難しいと思われた。果たしてうまい具合に、昨日のように帆月と二人になれるだろうか? そう考えると些か憂鬱でもある。
学校に近づき校門が見えてくる。無意識の内に件の計画を意識したのだろう。普段に比べ、十五分程早い登校となっていた。まだ、生徒たちの姿も疎ら。
そんな風に、周囲を見渡していた時――。
スウと滑るように俺の横を追い抜いき、黒塗りの高級車が校門の前で停車した。そして、運転席から上品な身なりの白髪の老人が降り、後部座席のドアを開く。
「――!」
地に立った少女の黒髪が棚引き、俺は驚く。それが、帆月蒼空だと気がついたから。
「お嬢さま、いってらっしゃいませ」
「沢渡さん――ありがとうございます」
沢渡と呼ばれた老人は慈しむように、それでいて少し不安げに帆月の背中を見送っていた。そして、その背に軽く一礼をすると、車を走らせてその場を去って行く。
高級車に送られてきた美少女。その見慣れぬ光景に、俺は呆然としていた。こんな片田舎の県立高校では、まずお目にかかることのないシーンである。
だが、数秒の時を経て、俺は何かを思い出すとハッとした。そう、これはチャンスである。人の少ない今なら、逆告白をするのに打ってつけのタイミングだった。
俺は小走りに校門に向かい、そこから校舎の方を見る。五メートル程先に、長い黒髪が背中まで伸びる、華奢で可憐な後姿があった。
間違いないよな。俺はそれが帆月蒼空であることを確認するが、
「――!」
何故か固まったように足が動かない。昨日の彼女の瞳、そのインパクトが、俺をそうさせているのか? だが、今を逃しては……。
ギュウと拳を握り、俺は意を決して前進をした。
次の日の火曜日。帆月蒼空が俺のクラスに来て二日目のこと。
俺は朝から緊張していた。それは、昨夜決めた逆告白を、滞りなく実行せんと意気込むが故である。
俺は帆月を好き、ではない。その誤解だけは早々に解いておきたいと焦る。しかし、それを実行するタイミングはかなり難しいと思われた。果たしてうまい具合に、昨日のように帆月と二人になれるだろうか? そう考えると些か憂鬱でもある。
学校に近づき校門が見えてくる。無意識の内に件の計画を意識したのだろう。普段に比べ、十五分程早い登校となっていた。まだ、生徒たちの姿も疎ら。
そんな風に、周囲を見渡していた時――。
スウと滑るように俺の横を追い抜いき、黒塗りの高級車が校門の前で停車した。そして、運転席から上品な身なりの白髪の老人が降り、後部座席のドアを開く。
「――!」
地に立った少女の黒髪が棚引き、俺は驚く。それが、帆月蒼空だと気がついたから。
「お嬢さま、いってらっしゃいませ」
「沢渡さん――ありがとうございます」
沢渡と呼ばれた老人は慈しむように、それでいて少し不安げに帆月の背中を見送っていた。そして、その背に軽く一礼をすると、車を走らせてその場を去って行く。
高級車に送られてきた美少女。その見慣れぬ光景に、俺は呆然としていた。こんな片田舎の県立高校では、まずお目にかかることのないシーンである。
だが、数秒の時を経て、俺は何かを思い出すとハッとした。そう、これはチャンスである。人の少ない今なら、逆告白をするのに打ってつけのタイミングだった。
俺は小走りに校門に向かい、そこから校舎の方を見る。五メートル程先に、長い黒髪が背中まで伸びる、華奢で可憐な後姿があった。
間違いないよな。俺はそれが帆月蒼空であることを確認するが、
「――!」
何故か固まったように足が動かない。昨日の彼女の瞳、そのインパクトが、俺をそうさせているのか? だが、今を逃しては……。
ギュウと拳を握り、俺は意を決して前進をした。
作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える