その恋を残して
第1章 好きにならないで!
「あの――」
俺の第一声は実に頼りないもの。それでも、帆月は足を止め振り向いていた。
「!」
目が合う――やはり美しいその顔に、ドキリと心臓が脈打つ。
「はい――?」
帆月は微笑の中に戸惑いを滲ませていた。
あれ?
俺はその表情に違和感を覚える。上手く言えないが、何故か勢いを削がれた気がしていた。
「おはようございます」
帆月が頭を下げ、丁寧な挨拶をしてくると――
「お……おはよう。帆月さん……」
口ごもりながらも、俺も辛うじて挨拶を返す。
すると、帆月は少しホッとしたように、その表情を緩めた。
「ああ、やっぱり同じクラスの人ですね。ごめんなさい、私まだ皆の名前わからないから……」
「そ、そうだよね……俺、松名……」
「松名さんですね。改めて、よろしくお願いします」
「うん……よろしく」
ニッコリと微笑む帆月につられ、俺の顔もほころぶ。
いや、違う。なんか変だぞ……。
これはまるで、初対面の挨拶である。昨日、クラスの一人一人が自己紹介した訳でもないから、俺の名前を知らないのは当然。だが、問題はそんなことではなかった。
昨日、彼女は俺を捉まえて、なんと言った? その部分が、まるっきり無視されているのである……。
「昨日のこと……なんだけど」
「はい――?」
それを問い正そうとする俺を、帆月はただ不思議そうに直視した。その大きな漆黒の瞳には一点の曇りも感じさせず、俺に真っ直ぐに捉えている。
吸い込まれそうな綺麗な瞳。それは昨日、俺を嫌悪したものとは――まるで違って見えた。
「ゴメン……なんでもない」
帆月への疑問も逆告白も――俺は結局何も言い出せないまま……。
「教室まで一緒に行ってもいいですか? まだ、一人で行く自信がないので……」
そう言って微かに頬を赤らめた帆月と――
「別に、いいけど……」
並んで教室に向かいながら、俺は激しく混乱していた。
俺の第一声は実に頼りないもの。それでも、帆月は足を止め振り向いていた。
「!」
目が合う――やはり美しいその顔に、ドキリと心臓が脈打つ。
「はい――?」
帆月は微笑の中に戸惑いを滲ませていた。
あれ?
俺はその表情に違和感を覚える。上手く言えないが、何故か勢いを削がれた気がしていた。
「おはようございます」
帆月が頭を下げ、丁寧な挨拶をしてくると――
「お……おはよう。帆月さん……」
口ごもりながらも、俺も辛うじて挨拶を返す。
すると、帆月は少しホッとしたように、その表情を緩めた。
「ああ、やっぱり同じクラスの人ですね。ごめんなさい、私まだ皆の名前わからないから……」
「そ、そうだよね……俺、松名……」
「松名さんですね。改めて、よろしくお願いします」
「うん……よろしく」
ニッコリと微笑む帆月につられ、俺の顔もほころぶ。
いや、違う。なんか変だぞ……。
これはまるで、初対面の挨拶である。昨日、クラスの一人一人が自己紹介した訳でもないから、俺の名前を知らないのは当然。だが、問題はそんなことではなかった。
昨日、彼女は俺を捉まえて、なんと言った? その部分が、まるっきり無視されているのである……。
「昨日のこと……なんだけど」
「はい――?」
それを問い正そうとする俺を、帆月はただ不思議そうに直視した。その大きな漆黒の瞳には一点の曇りも感じさせず、俺に真っ直ぐに捉えている。
吸い込まれそうな綺麗な瞳。それは昨日、俺を嫌悪したものとは――まるで違って見えた。
「ゴメン……なんでもない」
帆月への疑問も逆告白も――俺は結局何も言い出せないまま……。
「教室まで一緒に行ってもいいですか? まだ、一人で行く自信がないので……」
そう言って微かに頬を赤らめた帆月と――
「別に、いいけど……」
並んで教室に向かいながら、俺は激しく混乱していた。
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