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その恋を残して

第6章 ここにいるよ

 そう言ってしまったものだから。その後も現在の俺と同じく、嫌というほどそいつらにボコボコに殴られた。

 息巻いたことを言った割には、一矢を報いることもせずに。亀のように身体を縮めつつ、時が過ぎるのをひたすらに待っていた――。

 なんだ――結局、今と同じか。

 どうやら、俺はケンカには向いてないらしく。妙に正義感が強い一面もあるクセに、自分の覚えた怒りを拳で表すことには、二の足を踏んでしまうのだった。

 だから今も反撃をするわけでもなく、ひたすら堪えるだけ。それでも、打たれ強さは少しばかり自信があるから。その内に奴らだって飽きるはずだ。

 そう言えば――あの時は、どうやって終わったっけ?

 見るに見かねた女子が先生を呼びに行ってくれて、駆け付けて来た先生はえらい剣幕で全員を怒鳴り散らした。確か、そんな感じだ。

 それが、きっかけで、俺をハブるゲームも終わった。でも、その後も俺はどこかスッキリとはしなかった気がする。

 その時の連中とは、今はもう会っていない。それが、答えだろう。俺は、あの時のことに心のどこかで納得をしていない。

 だったら、今は――このままでいいのか?


『松名くん!』


 俺は、ボンヤリとした意識の中で、その声を聴く。



    ※    ※


「……」

 俺は――声の方向を、見る。

 そこに立っていたのは――怜未だった。心配そうに、俺を見つめた。

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