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その恋を残して

第6章 ここにいるよ

「アレ、どうしたの?」

 嬉しそうに顔を綻ばせ、そう言ったのは内田だった。奴は怜未の方へと近づいて行く。

 俺は、それを止めようと内田に手を伸ばすが――

「くっ――!」

 内田の仲間たちはそれを阻むように、俺の身体を押さえつけた。

「は……放せ」

 内田が怜未の元に迫るのを見ながら、俺は焦りを滲ませる。

 だが、内田の仲間たちはニヤニヤと薄ら笑みを浮かべたまま、俺をつかまえて放さない。

 でも、次の瞬間だった――。


 ゴンゴン――ゴンッ!


 背後でそんな音が響いたと感じた時に、何故が俺の身体は解放された。

 振り返ってみると、足を抱えて蹲る三人の傍らに、バットを手にして立つ一人の男がいた。

「お……お前?」

 それはユニフォーム姿の田口だった。

「ふざけんな! 野球部が暴力ふるって只で済むと思うなよっ! しかも、バットなんか使いやがって!」

 内田の仲間の一人が、片足を痛がりながらも精一杯の悪態をつくが――。

「大袈裟だなー。ちょこんと、グリップでスネを小突いただけだろ? それと暴力とか言い出すんなら、ついさっきまでお前らがしてたことはなんだって話だけど――ねえ、サッカー部の皆さん?」

「ぐっ……」

 暴力云々はともかく、口の上ではどうやら勝敗は明らかなようで。

「こっちはいいから早く行けよ。彼女のピンチだぜ」

 次いで俺にそう言うと、田口はニッと笑った。

「ああ……そうだな」

 そう言って、俺は怜未と内田の方へ視線を向ける。

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