テキストサイズ

その恋を残して

第6章 ここにいるよ


 なぜ怜未が体育館裏に現れたかといえば、その理由は田口のお節介によるところ。

 昼休みに内田に因縁をつけられた後、どうやら俺の態度を気にかけていたらしく。放課後、体育館裏に向かう俺を見つけると、なにかあるのだと勘を働かせたようだ。

 その時に「様子を見に行かない?」と、下校中の怜未に声をかけたのは単なる気まぐれらしいけど。それだけでも十分に余計なお世話だと感じたが、田口のお節介はそれだけに留まらなかった。

 それは、俺が内田をぶっ飛ばした後のこと。

「あーあ、随分と男前にしてもらったよなー」

 田口は冗談めかして、ボコボコにされた俺の顔を見て笑い。それから――

「帆月さん、コイツの手当してやってよ」

 と、そんなことを言ったのである。

 その一方で「保健室イベント発生だな」などと俺に小声で耳打ちをすると、自分はさっさと部活に戻ってしまったのだ。

 大体なんだよ、保健室イベントって? それだったら、なんでもいいんじゃねーの。なんて、そんな風に呆れつつも。

 まあ、もちろん今回の件で俺が田口の奴に、感謝をしてない、と言えば嘘になるのだろう。


 そんなわけで結果的に――現在、俺と怜未は保健室に来ていた。しかも、二人きりで……。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ