I・I・NA・RI
第1章 二人の秘密
「青斗、バイトは?」
冷蔵庫から麦茶を取り出した青斗に声を掛けた。
「今日バイトで遅くなるんじゃなかった?」
「あ、確認したら今日シフト入ってなかった。」
「はぁ?お前そそっかしいな。」
丈太郎はリビングの椅子に腰を掛けた。
「親父、今日早いね?」
「ん?あぁ、今日は得意先から直近したから。」
丈太郎はワイシャツのボタンを外す。
ーーーカタンッーーーー
「あれ?何か音した?」
青斗が振り返る。
「んっ?チャメだろ。」
ーー「ニャーーン」
「チャメなら足元にいるけど。」
青斗が飼い猫の茶トラのオス猫、チャメを抱き上げた。
「そっか、あっチャメの水変えてやらなきゃ。」
丈太郎はそそくさとリビングから容器を持って移動した。