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【new】淋しがり屋のドロップス

第3章 全ては君のために

一睡も出来ないまま朝を迎え、取り敢えず静かに下に降りてシリアルと牛乳だけテーブルにおいて、学校に向かった。

こんなこと初めてだ。

おはようすら皆に声を掛けられなかったんだもん。
でも、怖い。僕は女の子でもないのにこんな事で怖がるなんて異常なのかもしれない。
けど、獣な日向を思い出すだけで怖かった。

「おい、夜空?」
「ふぇ?」
「顔、青いぞ」
「う、うん、ちょっと色々昨日あって」
「随分、お前の携帯も鳴り響いてるけど大丈夫なのか?」

大丈夫な訳がない。発信元は空からだ。
あんなに毎晩毎朝、何もしないし、遊んでいる癖に、僕や日向が何かすると直ぐに怒るんだ。
きっと今朝の事だろう。
僕はそれどころじゃない。シリアルくらいで喚かないで欲しい。
だいたい、何て言い訳をしていいかわからないもの。
まさか、「日向にレイプされそうでした」とでも言えば良いのか。

「ねぇ、奏。オナニーってどのくらいするの?」
「ぶーーーーーーーっっ!!!」

奏が突然、口に含んでいた牛乳を吹き出した。普段、下ネタのしの字も口に出さない僕がそんなことを切り出したのだ。
その手の話は苦手だから自分でもびっくりするよ。

「ねぇ、答えてよ」

でも気になる。良くそういう捌け口がないと人はおかしな行動に出るって言うし、
何より、誰にも言ったこと無いけど僕は精通すら迎えてないんだもの。

「ゲホゲホゲホ…な、なんだよ」
「いいから」
「んー、体調良いときと悪い時によって」
「いいからそんなの」
「う、だいたい、三回くらい?」
「ふぅん」

やっぱり僕が恋人を欲しがらない理由はきっと、体の何処かがおかしいんだ。
むしろ、昨日の日向こそ、何か思い悩む部分があって……性の衝動にかられたに違いない。
そう思うと自然と納得できた。
だって、僕は……近衛家の欠陥だもの。

「あれ?夜空?お前、ちゃんと座れてない…っておい!!」

あれ?奏が斜めに向いている……
と思ったときには既に気を失っていた。
もう、頭がグチャグチャし過ぎて何も考えられない。

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