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【new】淋しがり屋のドロップス

第3章 全ては君のために

「これはおまじないだよ」
「うん」

次は瞼。
やっぱりくすぐったい。

「ふふ」
「逃げちゃダメ」

次に耳たぶ。
チュッていう音が大きく響く。
すると小さな声で何かを囁かれた。
真しやかな言葉でどういう意味なのか
考えるうちにイッチャンから次の注文が入った。

「じゃぁ、ベロだして」

何の考えもなくつられて言うことを聞いた。

「べっ……ン」

イッチャンからの突然のキスに驚いて強めに胸を引き離そうとしても力が入らなかった。

(日向がしたことと意味が全く違うから)

その言葉がグルグル頭のなかで回る。

「ン、…ふぁ」

ゆっくりと唇が離される頃には何故か腰まで力が抜けてイッチャンの胸の中でボーッと体が動かない状態だった。
成る程、日向とは全然違うキスだった。

「落ち着いたみたい」
「…嘘…つき」
「気持ち良かったでしょ?」

自信満々に言う。
悔しいけど、でも、日向のそれとは全く違かった。
酸欠で頭がフラフラする。

「もう、俺がいなくても平気?」

言葉もでずにこくりと頷くと、ヒエータをおでこに貼られた。

「少し熱いし、薬も効いて来る頃だろうから、ゆっくりお休み」

それから、また軽くおでこにキスをされてサイドランプを落とされた。
病院で飲んだ薬と、泣きつかれて寝に落ちるまでそう時間は掛からなかったと思う。

兎に角、今は何も考えたくない。
イッチャンのおまじないもあって、この日はゆっくり眠れた。

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