【new】淋しがり屋のドロップス
第4章 君だけにさりげなく
「あら、夜空」
僕が庭園に水を撒いていると後ろから久枝さんが僕を呼んだ。
「もう大丈夫なんえ?どこも痛うないん?こんなこと、皆にやってもらうから、家に入りなさい」
「うん、でも動いてないと気持ち悪くて」
「可愛そうに……昨日しっかり、あの子等叱っておいたさかい、今日も泊まっていきなさい。ね?」
「は、はい。本当、有り難うございます」
「遠慮せんと。ここも、あんたの家なんですよ」
そっと僕からホースを取り上げてお弟子さんに渡してしまった。
することが無いのは困る。
あーちゃん含め誰一人僕を訪ねに来ないのは、久枝さんが僕の事をみんなに伝えたからだろう。
何を言ったのか少し気になるけど、僕もなるべく何も考えないことにした。
「あー日向……元気かな」
そんな中でもやっぱり思い出すのは日向の事だった。
日向のあの行為も今は冷静に考えられる。
昔は毎度遊ぶ時には僕の後ろに必ず隠れてひよこみたいに追いかけてくる。
僕の真似はなんでもしたがる子だった。
本当に可愛くて大好きだった。
頼られて嬉しいなって、弟がいて良かったって思えたのも日向のお陰だ。
それなのに、いつの間にか日向は僕の身長を追い越して大人びて行った。
僕と違い、ピアノの先生にも気に入られて、どんどん知らない日向に変わっていたのを見てきた。
僕は頼られる僕で居れなくなるのがとても怖かったんだ。
僕の仕事は家事だもの。
日向が居なくなってしまったら、僕はどうしたらいいのか分からなかったんだ。
こんな何の取り柄もないもの僕だから……。
僕が庭園に水を撒いていると後ろから久枝さんが僕を呼んだ。
「もう大丈夫なんえ?どこも痛うないん?こんなこと、皆にやってもらうから、家に入りなさい」
「うん、でも動いてないと気持ち悪くて」
「可愛そうに……昨日しっかり、あの子等叱っておいたさかい、今日も泊まっていきなさい。ね?」
「は、はい。本当、有り難うございます」
「遠慮せんと。ここも、あんたの家なんですよ」
そっと僕からホースを取り上げてお弟子さんに渡してしまった。
することが無いのは困る。
あーちゃん含め誰一人僕を訪ねに来ないのは、久枝さんが僕の事をみんなに伝えたからだろう。
何を言ったのか少し気になるけど、僕もなるべく何も考えないことにした。
「あー日向……元気かな」
そんな中でもやっぱり思い出すのは日向の事だった。
日向のあの行為も今は冷静に考えられる。
昔は毎度遊ぶ時には僕の後ろに必ず隠れてひよこみたいに追いかけてくる。
僕の真似はなんでもしたがる子だった。
本当に可愛くて大好きだった。
頼られて嬉しいなって、弟がいて良かったって思えたのも日向のお陰だ。
それなのに、いつの間にか日向は僕の身長を追い越して大人びて行った。
僕と違い、ピアノの先生にも気に入られて、どんどん知らない日向に変わっていたのを見てきた。
僕は頼られる僕で居れなくなるのがとても怖かったんだ。
僕の仕事は家事だもの。
日向が居なくなってしまったら、僕はどうしたらいいのか分からなかったんだ。
こんな何の取り柄もないもの僕だから……。