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【new】淋しがり屋のドロップス

第4章 君だけにさりげなく

「日向?僕だよ話しよ」

そう僕が声を掛けた時だ。
中で慌ただしく音を立ててからゆっくりとドアが開いた。

「日向?」

ひょこっと顔を見せたのは見慣れた、どこか幼い顔をした日向だった。

「夜空っ夜空ぁ」
「日向っ」

ちらっと僕を見るなりいきなり強く抱き締められた。
少し怖かったけど、それより笑っちゃうくらい、ごめんなさいって、嫌いにならないでってワンワン泣かれてしまった。
まるで昔に返ったみたいだった。
洋服の裾を掴んでグズる日向が凄く可愛いくて大好きだったから。

「なんか僕たち一緒に育ったのにいつの間にか全然違くなっちゃったんだね」
「変わらないよ、オレずっと夜空の事、守りたくて大好きだったんだ」
「本当にごめんね、馬鹿なお兄ちゃんで……
ずっと日向の事あの時のままでいて欲しくて、日向の気持ちから逃げたんだよ。
何処かで気づくこともできたのに余計日向を傷つけちゃったね」
「夜空が謝らないでよ!!オレが全部悪いんだからっっ!当たり前だよ、男で……それに兄弟でこんな気持ち持つなんておかしいし、気持ち悪い。本当に傷つけてごめんなさい」
「日向のしたことは、誉められたことじゃないけど、でもその気持ちは嬉しいよ。びっくりしたけど、嬉しかった。
嫌な思いもしたけど、日向も沢山反省してくれたでしょ?」

日向は無言でコクコクと頷いた。また泣きそうな顔をしたので、今度は僕が日向をぎゅってして頭を優しく撫でた。

「許して……くれるの?」
「うん、もちろんだよ。僕も恥ずかしい所沢山あるしね。怖かったんだよ、日向にお兄さんぶれなくなるのが……だからずっと昔のままの日向を見て、大人になった日向を無視してたんだ。ごめんね」
「有り難う、有り難う夜空…大好き」
「僕もだよ。でも、僕は日向を恋人としては見れないよ」
「やっぱりイッチャンの事……」
「いや、ちょっと僕、そういうの良くわからないんだ。本当これからは普通の男子として頑張るよ……でも、日向の事はそれとは別に一番だから」
「……うん……有り難う、もう十分だよ。オレ、夜空の一番になりたかったから」

優しい、日向のような温かい光に包まれて僕たちは暫く抱き合った。

「さ、今日は日向の好物沢山作っちゃうぞ!」

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