テキストサイズ

魅せられて

第2章 魅力

アトリエに齋藤夫人がやって来た。
キャメルのカシミアを着た夫人は
 なのかのヌードを描いた絵が、イーゼルに架かっている。齋藤夫人は暫く見ていた。

 なのかを描いたデッサンが、アトリエで幾枚か散らかっていた。
両脚を抱えて膝に乗せているもの、うつ伏せになり、体を丸めて腰を高く上げたポーズ、仰向けになって軽く膝を立ているものがある。
「なかなかいいじゃないですか 美しいヌードを残しておけたことは、なのかちゃんにとってもよい経験になると思います。」」
「そうだといいんですが」
「ヌードになんかなるわけない、と思っていたなのかさんが脱いてくれました。いい作品にしないと」

齋藤夫人は作品を見回す。
「これらの作品を展示会をしたりはしないんでしょうか」
「展覧会ですか 個展と言うレベルでは」
西寺は謙遜した。

「絵を描く西寺さんは、素敵だと思います。」
「勿体ないお言葉です」
「作品を集めてパーティーをしましょう 西寺さんの絵を鑑賞しながら」
齋藤夫人が言った。
「それならいいですね」
西寺は同意した。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ