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僕はアノ音を聞いてしまった。

第4章 真珠の肌と透明な肌

 マサミの寝室は階段を上がり、正面に向って左手側に通る廊下の最奥にある。
 
 早朝にもかかわらず廊下は、すでに夏の熱気がこもっているようだった。額に汗がにじむ。
 
 マサミの話しによると、彼女の寝室の手前左手にある観音開きの扉がウオークインクローゼット、その隣の扉が子ども用に準備した寝室――そして、その子ども寝室の正面が子ども用のプレイルームだと言っていた。色とりどりのクッションカーペットを敷き詰めただけのそこは、今はガランとしているだけの寂しい空間だ。

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