テキストサイズ

僕はアノ音を聞いてしまった。

第1章 聞いてしまった。

 リビングの前で立ち止まる。背後から子猫のように首根っこを掴まれて怒鳴られるかも知れない。淳也は肩をわななかせた。
 
「…………」
 
「お姉ちゃんに報告しないとね!」
 
 マサミの眉間に筋が浮き上がり、黒目がちでアーモンドの形をした目が釣り上がっていた。マサミは淳也の母親の妹だ。彼女は尻のポケットからスマートフォンを取り出した。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ