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僕はアノ音を聞いてしまった。

第6章 野田恭子

「英語で……セックス……って言うんだって……」
 
 恭子が真面目に答える。
 
 セックスや性交、という単語は耳にしたことがなかった。男子と女子、別の教室で受けたあの授業でさえ……。
 
「……大人の男の人と女の人がすることなんだって」
 
「ノダキョーはしたことある? ……セックス……」
 
 恭子の顔が左右に動いた。
 
「ねえ……セックス……試したい……」
 
 ひじ枕をした恭子の身体が淳也の方を向いた。布団がふわっと空気を含む。足元から見えていた小さな光がスッと消えていて、今度は淳也たちの頭の側から光が入る。布団の中のムッとした空気が少しだけ冷たい空気に入れ替わった。
 
 ――えっ……。
 
 タオルの上から股間がわしづかみになった。ペニスもその下の小袋も一緒に揉まれる。
 
「いたっ!」
 
 身体の奥がゴリッとなり、腹の奥に痛みを感じた。初めての痛み。小袋の二つの玉が潰れたのかと思ったが、しばらくすると治まった。
 
「ねえ、チビ淳、キスしよ?」
 
 恭子の唇とべったりと重なる。唇のスタンプを捺すように。何度も何度もそれは淳也の唇に落ちた。タオルの上から淳也の股間を弄る。

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