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インターセックス

第1章 性転の霹靂

 すぐにパトカーに乗せられ病院へ直行した。竜崎は、そのまま警察署に連行されていった。
病院で僕は、体の隅々まで診察された。病院での診察は、初めての経験だった。風を引いても病院へ行ったことがない。着ている物を全部脱がされ股間まで診察された。恥ずかしい思いもあったが診察ってこういう物なのかと思った。
診察も終わり診察用ベットに腰掛け前ボタンを留めていると、涼子が入ってくる。
医師が机の前に座りカルテを見ている。
「まあ、そこへお掛けください」
医師の合向かいにある丸椅子に涼子が座る。
「先生、この子どうなんですか。何か乱暴されたんじゃ……」
「いや、乱暴は、されていません。初潮ですね」
「え? でも……この子、男の子ですよね?」
「両性具有です」
「両性具有って?」
「性分化疾患なんですが、まあ、ごく稀に居るんです。性器が未分化で両方付いている。成長するにしたがって夏音ちゃんの場合、女性寄りに変化してるんですね」
「そんな、そんな事ってあるんですか」
涼子は、にわかに信じられないような顔で僕を見つめていた。
僕は、少し安堵した。女の子の服を着てもいいのだと。それまでいけない事をしているような後ろめたい気持ちだった。
「僕、女の子なんですか? これからどんどん女の子に成っちゃうんですか?」
「夏音君…… 夏音ちゃんは、体の事をご両親から何か聞いている?」
「お母さんが家出する前に聞いた事がある。両方付いてるって…… でも大人になると普通の男の子になるって、そう言われて信じていた」
「そうなのか。でもね、夏音ちゃんの場合は、これからどんどん女の子になっちゃう。どうしても気になるようなら手術する事もできるよ」
「手術って?」
不安がよぎった。何をどうするのか、切ってしまうのか塞いでしまうのか。とても考えられなかった。
「無理に体をいじらない方がいいね。大人になってから考えた方が良い」
「夏音ちゃん、大丈夫?」
涼子が声を掛けてきたが耳に入らなかった。これが現実なのかもしかしたら夢を見ているのだろうか、不安と安堵が交差し頭の中は、混乱していた。

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