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インターセックス

第1章 性転の霹靂

 僕は、そのまま福祉課のの談話室に連れて行かれた。狭い談話室には、事務用机と合向かいにパイプ椅子が置かれている。机に合向かいに座る涼子と僕。
「夏音ちゃん、ご両親の事を聞きたいんだけど。お父さんは、どうしているの?」
「3日位前に、どこか行っちゃって帰ってこない。竜崎のおじさんは、もう帰ってこないだろうって」
「お母さんは?」
「僕が、小さい頃、出ってった。僕を置いて」
「辛い思いをしてきたのね」
「僕、これからどうなるの?」
「とりあえず、児童養護施設にあずかってもらうわ、お父さんが見つかるまで」
「養護施設に入るの? 僕」
「施設は、食事もしっかり出るし、個室もあるわ。狭いけど。そこから学校へ通うのよ」
「僕の体の事は、……」
「そうよね、その事よね。夏音ちゃんは、どうしたいの」
「僕、良く解らない。でも、あのアパートには、帰りたくない。お腹が空いて、もしかしたらこのまま死んでしまうのかって思った事もあったし。竜崎さんに売られてしまうような気もするし。でも、竜崎さんにこの服着せられて自分の体が自分じゃないような、でもこういう服、着て初めて分かった。自分には、女の子の服が似合うんだって。本当は女の子だったんだって」
「辛かったのね。あなたにもうこれ以上つらい思いは、させたくないわ。私が全力で君を守ってみせる。でも不思議よね、ついさっきまで男の子だったのに。でも似合ってるわ。どこから見ても可愛い女の子にしか見えないし」
「僕、女の子になっても良いの? なれるの?」
「そうよね。いきなり、君は、これから女性になるだなんて言われたら困っちゃうよね」
「僕、女性の事が解らない。生理とかどうしたら良いの?」
「そうね、そこから教えて行かなくっちゃね。それと周りの目ね」
「目?」
「言いにくいんだけど良く聞いてね。君の体のことを知った人は、君の体の事を興味本位で見てくる人もいると思うの。隠し通す事ができればいいんだけど君のことを知っている人もいるでしょ。突然女の子になったら何を言われるかわからないし」
「興味本位って…… じゃあどうすればいいの?」
「これから辛いこともあるかもしれない、でも君は、一人じゃない。私達が付いているわ。だから、私達を信じて」
僕は、その時に決心した。この人を信じよう。そして女子として生きていこうと。

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