インターセックス
第1章 性転の霹靂
夕方、空腹を忘れるように部屋でテレビを見ていた。いつも深夜に酔って帰宅する父を待ち僅かなお金を貰って近くのコンビニで夕食を済ませている。しかし今回は、もうすでに3日は、その姿を見ていない。空腹は、『辛い』と言うより恐怖だった。このまま餓死してしまうかもしれない。そう言う不安で心が支配される。階段の靴音がするたびに父の帰宅を心に願う。その時だった。ドアのノックする音。いつも父は、ドアノックなどしない『誰か来た』不安で心が揺れる。慌ててテレビを消して息をひそめる。
「こんばんわ、夏音ちゃん居るんでしょ」
聞き覚えのある声は、房江だった。
「こんばんわ、夏音ちゃん居るんでしょ」
緊張して膝を抱えていた僕は、少し安堵した。
返事も忘れドアをそっと開けると房江が隙間から覗き込む。
「お父さん居ないんでしょ?」と言うと同時にドアを開けて小鉢を差し出してきた。
「夏音ちゃん。お腹すいてるでしょ」
その小鉢には、湯気の立つカボチャの煮物が入っていた。
「ほら、これ。カボチャの煮物。良かったらお食べ」
この3日間、水しか飲んでいなかった僕は、空腹でこのまま死んでしまうのかも知れないと思っていた。嬉しさがこみ上げてくる。普段、口の悪いおばさんなのだがこの時だけは、神様のように見えた。
「ありとう。おばちゃん」
小鉢を受け取ると暖かさと煮物の香りが僕の体に染み渡るように感じた。
「お父さん、帰ってこないの?」
「うん、もう3日帰ってきてない」
「どうしちゃったのかしらねー、困ったものね」
「……」
「まあ、とりあえず。これ食べて元気だしな。また何か持ってきてあげるから。困ったことがあったらおばさんに言うんだよ。じゃあね」
「ありがとう。おばさん」
房江は、ドアを閉め帰って行く。
こんな温かい手料理は、何年ぶりだろう。母がまだここに居た時の微かな思い出が蘇る。
「こんばんわ、夏音ちゃん居るんでしょ」
聞き覚えのある声は、房江だった。
「こんばんわ、夏音ちゃん居るんでしょ」
緊張して膝を抱えていた僕は、少し安堵した。
返事も忘れドアをそっと開けると房江が隙間から覗き込む。
「お父さん居ないんでしょ?」と言うと同時にドアを開けて小鉢を差し出してきた。
「夏音ちゃん。お腹すいてるでしょ」
その小鉢には、湯気の立つカボチャの煮物が入っていた。
「ほら、これ。カボチャの煮物。良かったらお食べ」
この3日間、水しか飲んでいなかった僕は、空腹でこのまま死んでしまうのかも知れないと思っていた。嬉しさがこみ上げてくる。普段、口の悪いおばさんなのだがこの時だけは、神様のように見えた。
「ありとう。おばちゃん」
小鉢を受け取ると暖かさと煮物の香りが僕の体に染み渡るように感じた。
「お父さん、帰ってこないの?」
「うん、もう3日帰ってきてない」
「どうしちゃったのかしらねー、困ったものね」
「……」
「まあ、とりあえず。これ食べて元気だしな。また何か持ってきてあげるから。困ったことがあったらおばさんに言うんだよ。じゃあね」
「ありがとう。おばさん」
房江は、ドアを閉め帰って行く。
こんな温かい手料理は、何年ぶりだろう。母がまだここに居た時の微かな思い出が蘇る。