テキストサイズ

インターセックス

第13章 親友

彼女とは、一度も話をした事は、なかった。
「ああ、おはようございます」私は、少し戸惑ってしまった。
「ゆいちゃん。おはよう。気が付かなかった。後ろで聞いてたの?」と隆一が聞く。
「なんか。仲良さそうだなって思って。声かけるタイミング見てたのよ」
「あのー、川崎さんでしたっけ」微かな記憶をたどり聞いてみた。
「ああ、私、川崎結菜。よろしくね」
「はあ、結菜さんですか、宜しく」
「ねえ、2人でプール行くの? 私も行きたいな」
「はあ……」隆一の目を見る。
「良いけど…… じゃあ、3人で行こうよ」
 泳げない隆一くんは、当然断ってくると思っていたのだが知らん人が加わって話の流れがもう断れない。

 今更、冗談だとも言えなかった。
どうしよう。不安だ。水着なんて持ってないし。
「あのー、私、水着持ってないんですけど」
「うっそー、だって水泳の授業の時どうしてたの?」川崎さんが聞いてくる。
「はあ、スクール水着なんで一般のプールは、ちょっと……」
実は、水泳の授業は、言い訳していつも見学していた。一度も水着は、着たことがない。
「じゃあ、買いに行こう。私が選んであげる」
「はあ……」
どうしよう。その時は、色々なタイプの水着を想像して頭を駆け巡っていた。
「いいじゃん。私が素敵なの選んであげるから。今日は、学校早く終わるから駅前のデパートでどう? 帰りに」
強引だ。ほぼ初対面でこんなに押しの強い子初めて。
「じゃあ、帰りにちょっとだけ」
押しの強さに負けた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ